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僧デシタカ

  • 執筆者の写真: かげろふ
    かげろふ
  • 2023年3月28日
  • 読了時間: 2分

彼はとにかく真面目というものに抵抗があった。


世に出回っている「それらしい」答えや、「常識」といったものを斜に構えて解釈し、彼は見たこと聞いたこと全てに対して彼なりの持論を持つことにしていた。


だから。


彼の友人ツマリハに、「畢竟、この世は金なんだよ。」とか言われると、彼はよくこう答えていた。


「そうでしたか。」


この返答は何もツマリハだけではない。

ツマリハは特に理論派として有名だったために取り上げられることが多かったが、デシタカは出会う人間全員に対して、


「恋愛というのはね・・・なんだよ。」

とか、

「勉強方法って、結局は要領なんだよ。」

とか、

そういったありとあらゆる言説に対して、


「そうでしたか。」


こう答えていた。面倒だから。


出会う者全てにこう答えたので、人はいつからか彼のことを「ソウデシタカ」と呼ぶようになった。


一方本人も本人で、悟りに入ってしまった。


そうでしたかそうでしたかそうでしたか。

あまりにも言いすぎた。

僕の名前はデシタカ。



とくに会話もしたくないし物思いに耽っていれさえすればいいわけで。

働きたくもないし、こうやって考えることそれ自体をもう仕事にしてしまえと思った。



ここから、こうやって、悟りに入るもののことを「僧」と呼ぶことにした。


そうでしたか。


「昨日りんご食べたー?デシタカ」


デシタカは答える。

ニコニコして。

「そうでしたか。」


意味などない。


彼は今日もどこかで微笑して言っているのさ。

「そうでしたか。」



ここまでの話、マジでなんの話?

意味のかけらもないね。


「そうでしたか。」

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