イイヒト・タカヲ
- かげろふ
- 2023年3月7日
- 読了時間: 1分
2-38。
本名はハシルオ・タカヲハ。
彼はとにかく走った。
人と話すことが好きで笑顔を忘れない。
でも、管理やアウトパフォームすることには不向きの人間だった。
狩に出かけ、チームで目標のターゲット動物を決めるが、彼は途中で獲物を狙わずに野菜をとってしまう。
そして、建物の下に隠す習性があった。
いつも狩の途中に野菜をとっては、隠す。
チームリーダーのような者に叱責されるが、怒られると走りに行く。そしてまた野菜をとってくる。
いつも彼は笑顔だった。
だいたい走る目安は20分。
20分走っては狩をして、飽きては野菜をとり、怒られてはまた20分走る。
これを繰り返すも彼は夜まで頑張ることが多かった。
火が沈むまで彼は走り続ける。
彼が溜め込んだ野菜はチーム以外からは非常にありがたく思われ、実は彼のおかげでその共同体は生活ができる側面もあった。
何より笑顔だからみんな話しかけやすかった。
世界最古のミスマッチ。
彼は狩に向いていないのに任命されてしまったのだ。
そこからついた異名がイイヒト・タカヲ。
タカヲハはこのネーミングを気に入っていたと言う。
彼の自伝『アノトキハツラカッタ』にはこう書いてある。
『人間万事塞翁が白菜』。
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